「メールが上手く書けない」「仕事で伸び悩んでいる」「読書してるけど不安」そんな悩みを抱えるビジネスマンに向けて、19世紀の哲学者ショーペンハウアーの著書「読書について」から、現代のビジネスマンが見習うべき文章術を紹介します。
結論
- 伝えたいことをハッキリさせよう。
- 文章はシンプルな方がずっと良い。
- 誠意と熱意を込めよう。
ショーペンハウアー(独:1788年 – 1860年)は、ドイツの哲学者で、主著は『意志と表象としての世界』です。日本での売れており有名な『読書について』はこの著書から抜粋・再編したものです。日本人にも読みやすい文体に翻訳されています。
ドイツ人でありながら、仏教の思想とインド哲学に精通した哲学者です。日本でも森鷗外をはじめ、堀辰雄、萩原朔太郎、筒井康隆など多くの作家に影響を及ぼした人物です。
伝えたいことをハッキリさせよう
すぐれた文体であるための第一規則、それだけでもう十分といえそうな規則は、「主張すべきものがある」ことだ。
(ショーペンハウアー「読書について」より)
これは、非常にシンプルですが的を得た教えです。
受信したメールでダラダラと長い文章のわりに、何が言いたいのか良くわからなくて何回も読み直すハメになったという経験、誰しもあると思います。
逆にあなたの送ったメールについて、後から「メールが分かりづらい」と上司に言われた経験があるかもしれません。
そんな意味不明なメールを送らないためには、この教えに従って「何を主張したいのか」をハッキリさせましょう。
そこで、伝え方のテクニックで有名なPREP法を用いることが有効です。
PREP法とは、Point(結論)・Reason(理由)・Example(例)・Point(結論)の順に伝えるテクニックで、一番の肝は最初に結論から伝えることです。
ビジネスメールでも、まず相手に伝えたいこと(結論)を書くことを意識しましょう。
- アンケートに回答して欲しいのか?
- 手伝って欲しいのか?
- 質問に答えてほしいのか?
- 承認してほしいのか?
はじめに結論を書くことで、明確で分かりやすい文章になれば相手に正しく伝えることができます。
PREP法を使ったメールの例
To:上司
Sub:来月の営業方針承認依頼(結論)
メール本文:
来月の営業方針はプランAで実施したく、承認お願いします。(Point)
理由は、プランAのほうがプランBより優れているためです。(Reason)
具体的には、プランAとプランBの過去の成績をまとめたデータを添付します。添付をご確認ください。(Example)
添付の内容より、プランAでの承認をお願いします。(Point)
以上
文章はシンプルな方がずっと良い。
ふつうの言葉を用いて、非凡なことを語りなさい。
(ショーペンハウアー「読書について」より)
よけいな言葉はみな、本来の目的を真っ向から阻む。
つまらぬことをつけ加えるくらいなら、カットしたほうがましだ。
ショーペンハウアーは「文章はシンプルなほうが良い」という主張を、著書の中で何度も繰り返しています。
これはビジネスシーンでも同じことが言えます。ダラダラと長い文章は、もうそれだけで読み手の読む気持ちを削いでしまいます。
例えば打ち合わせ後の議事録では、参加した人だけでなく参加できなかった人にも決定事項を伝えることが必要です。ダラダラと長い文章は禁物です。余計な修飾語は極力省きましょう。
しかし逆に文章を省略しすぎると、説明不足になってしまいます。
そんなとき伝えたいことが1つなら、先に紹介したPREP法が有効です。伝えたいことがたくさんあるのなら箇条書きにするのがおすすめです。さらに箇条書きにしたときに、末尾に期限と依頼先(可能な限り個人名)を書き加えることで、読み手視点で「自分は何をいつまでにやらないといけないのか?」が分かります。
箇条書きを使った議事録の例
会議の目的:来年の営業部の予算決めのためのキックオフミーティング
決定事項:
- 次回ミーティングを来週木曜日でセッティングする。(Aさん 期限:明日)
- 今年の予算実績をまとめる。(Bさん 期限:今週末)
- 今年、予算を超過した項目をまとめる。(Bさん:来週水曜日)
- 参考用に、他部門の来年の予算データを準備する。(Cさん:来週水曜日)
誠意と熱意を込めよう。
伝えるべき明快な思想や認識がある著者は、伝達という目的に向けて、一直線に仕事をする。だからいたるところでくっきり明瞭な考えを差し出し、冗長にならず、あいまいさや混乱もなく、そのため退屈させない。
(ショーペンハウアー「読書について」より)
精神の産物、著作の価値をさしあたり評価するのに、必ずしもその書き手が「何について」「何を」考えたかを知る必要はなく、まずは「どのように」考えたかを知れば、十分だ。この「どのように」考えたか、つまり思索の根っこにある特徴と一貫したクオリティーを正確に映し出したのが、文体だ。
(ショーペンハウアー「読書について」より)
ショーペンハウアーは良い文書の条件に「一直線に仕事をする」「どのように考えたかが重要」と著書に記しています。
ビジネスも結局は人と人のやり取りです。
どんなに理屈が正しくても感情が伴わなければ成果が出ません。「あの人は正しいことは言うけど、無責任だから言うことを聞きたくない」そんな人っていませんか?私はいます。
人間はロボットではないので、どうしても感情が伴わないと動き出そうと思えないのです。
では、あなたが他人に動いてほしいときにはどうすれば良いか?それが誠意と熱意です。誠実で熱意のこもった文章は相手の心を動かします。
「なぜそうしたいのか?」「どのように考えているのか?」これが文章の中に組み込まれると、文章は生き生きとして相手の心を動かすことができます。
しかしそうは言ってもどう書けば良いか分からないという人には5W1Hを使うことをおすすめします。5W1Hの6項目全てを文章に入れる必要はありません。(入れすぎると逆に文章が冗長になってしまいます)。5W1Hを意識しつつ無理のない範囲で文章に組み込みましょう。
- What 何を
- When いつ
- Where どこで
- Who だれが(だれに)
- Why なぜ
- How どのように
5W1Hを意識したメールの例
To:上司
Sub:エンジニア補充の依頼
本文:
開発中のプログラムAで日々問題が発生しており、進捗が遅延しています。遅延回収のためエンジニア補充を検討お願いします。(What)
プログラムAは不確定要素が多いプロジェクトのため、想定外の問題が起きており、既存エンジニアはその処置で手一杯になっています。今週一週間、エンジニアの配置替え等で対応できないか検討しましたが、それでは不十分です。(How)
そこで、他部署からエンジニアの応援をお願いできないでしょうか?聞くところによるとプロジェクトBは、完成間近で余力があると伺っております。(How)
状況が切迫していますので、エンジニアを安心させるためにも、今週中に何か回答いただきたくおねがいします。(When)
ご検討お願いします。
まとめ
「メールが上手く書けない」「仕事で伸び悩んでいる」「読書してるけど不安」そんな悩みを抱えるビジネスマンに向けて、19世紀の哲学者ショーペンハウアーの著書「読書について」から、現代のビジネスマンが見習うべき文章術を紹介します。
結論
- 伝えたいことをハッキリさせよう。
- 文章はシンプルな方がずっと良い。
- 誠意と熱意を込めよう。
ショーペンハウアー(独:1788年 – 1860年)は、ドイツの哲学者で、主著は『意志と表象としての世界』です。日本での売れており有名な『読書について』はこの著書から抜粋・再編したものです。日本人にも読みやすい文体に翻訳されています。
ドイツ人でありながら、仏教の思想とインド哲学に精通した哲学者です。日本でも森鷗外をはじめ、堀辰雄、萩原朔太郎、筒井康隆など多くの作家に影響を及ぼした人物です。