「目的思考」というワードを聞いたことがあるでしょうか?目的思考は、変化の激しい現代社会を生き抜くビジネスマンが身につけるべき思考法として、近年注目されています。本記事では、そんな目的思考について解説していきます。
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そもそも、目的思考はなぜ必要か?
過去、高度経済成長期の日本では「今ある製品よりも、より良いものを作れば売れる」という時代がありました。しかし今は変化の激しい時代と言われ、過去の延長ではなく、それを大きく超えていかなければ淘汰されてしまうビジネス環境です。さらに多様性が重要視される昨今では人々の価値観が広がり「部下全員を納得させるような目的を立てられない」「目的を立てても部下を納得させられない」と、目的に関して悩みを抱えるマネージャーやリーダーは多いでしょう。
一方で、一般社員の皆さんにとっても目的は重要です。目的、つまり「何のために」が分からないままにガムシャラに働いても決して成果は出ません。成果が出なければ仕事にやりがいを感じられず幸福度が下がってしまいます。
このように悩んでしまうのは、多くの人が「目的思考」が欠けているからです。
そもそも、仕事は作業そのものに意味があるわけではありません。その作業を通じて生まれる価値=目的の部分に意味があるのです。例えばパソコンのキーボードを叩いて報告書を作ることに本質的な意味はありません。その報告書が読まれることで組織の中に認識が共有され、次の経営判断を促すというところに本質的な意味があるのです。
まとめー目的思考が必要な理由ー
- 現在は、過去の延長線を遥かに超えることが求められる時代だから。
- さまざまな価値観をもつ人々をまとめるため。
- 仕事の本質は、目的を達成することにあるから。
目的思考のメリット
目的思考とは、良い目的を設定することで仕事の効率・やりがいを高める思考法です。目的思考ができるようになると、次のようなメリットを得られます。
目的思考ができると得られるメリット
- 解決すべき問題を絞り込み、価値のない仕事を省くことができる。
- 仕事の優先順位に悩まなくて済む。
- 目的達成に直結するアクションができ、無駄な活動がなくなる。
- 目の前の作業に心の底から納得でき、やりがいを感じる。
良い目的を作るには
ここまでの説明で目的思考の重要性を分かっていただけたと思います。本章では、具体的にあなたがすべきことを解説しましょう。
良い目的を設定するポイントは「何のために」を問い続けることです。「何のために」を問い続け、それに答えられ続ける目的は、より多くの人が腹落ちする説得力のある目的と言えます。
例えば、あなたがとある企業の営業部の中の1つの課のリーダーであったとしましょう。「前年比、売上1.5倍」を今年の目標に掲げたとします。そうしたら「何のために」という問いを投げかけ続けてみましょう。
「前年比、売上1.5倍」→何のために?→「会社全体の売上目標を達成するため」→何のために?→「競争が激化する市場で自社が生き残るため」→何のために?→「従業員の雇用を守るために」
このように問い続けると、どこかで普遍的で多くの人に関係する目的に行き当たります。すると「前年度、売上1.5倍」が他人事だった部下も自分に関係のあることとして捉えることができるようになるのです。
良い目的をつくるには2
前章で挙げた「何のために」と問いかけを繰り返す方法の他に、もう一つ良い目的を作る方法を紹介します。
それは、過去の延長線上に未来を見るのではなく、望む未来を初めに描く「バックキャスト思考」を取り入れることです。バックキャスト思考を取り入れると、変化の激しい時代や多様性に翻弄されない、強い目的を設定することができます。
ここでは、強い目的を以下のように設定します。
強い目的とは
- 説得力がありチーム全員が納得できる目的
- 変化の激しい時代に翻弄されない価値ある目的
過去、高度経済成長期の日本では「今ある製品よりも、より良いものを作れば売れる」という時代がありました。しかし今はVUCAの時代とも言われ、過去の延長線上に未来を見るようでは時代に淘汰されてしまいます。
バックキャスト思考とは、過去の実績や現状や課題から未来を考えるのではなく、「ありたい姿/あるべき姿」を描いたうえで、そこから逆算して“いま何をすべきか”を考える思考法のことです。ビジネスでは、DX推進や組織改革など不確実性が高く、正解が存在しない課題やテーマに対して、まずは未来のゴールを描き、その実現のための具体策を考える手法として注目されています。※
※参照元:https://shikaku-kaigi.jp/pickup/backcasting/
バックキャスト思考を使った目的の作り方
前章でバックキャスト思考を取り入れることで、強い目的を設定できると紹介しました。本章では、バックキャスト思考を使った目的の考え方を紹介します。
バックキャスト思考では、使命(すべき)と意思(したい)のどちらかを考え、目的に取り込みます。
まず使命(すべき)は、例えば「商品開発部と営業部はもっと連携すべきだ」のように、今ある問題点(商品開発部と営業部が連携できていないために、顧客ニーズを商品に反映できない)を起点に、将来のあるべき姿を描く方法です。次に意思(したい)は、例えば「この工場を、社内で一番スマート化が進んだ工場にしたい」のように、将来こうなったらいいなぁという理想を描く方法です。
この2つは使い分けが重要です。
使命(すべき)は大義名分があるので多くの人に理解されやすいです。しかし、彼らを心の底から納得させるのは難しいでしょう。「確かにそうかもしれないけど、自分がやらなくても誰かがやってくれるはず」とやらない理由が容易に考えられるからです。また、今ある問題点を起点にしているため、バックキャスト思考の定義である将来のあるべき姿を描く、ではなく、現在の延長線を描いてしまいがちになる点も注意が必要です。
一方で意思(したい)は、多くの人に理解されるのは難しいです。どうしてもきれいごとの理想論のようになってしまい、上昇思考・改善意識の低い人には他人事になりやすいからです。しかし、同じ考えを持つ同志には深く心に刺さります。また、現在の状況に縛られない自由な発想が生まれる可能性が高いこともメリットです。
広く浅く(使命)か狭く深く(意思)かは、組織や立場によって使い分けが必要となります。皆さんの今いる環境も考慮して、どちらを選ぶか検討してみてください。
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目的を実現させるために
ここまでの説明で、良い目的の作り方を紹介してきました。しかし、良い目的を作っただけでは意味がありません。この目的を実現することに意味があるのです。(これも、目的志向の考え方ですね)
そこで本章では、あなたが一生懸命考えた良い目的を実現するための方法を紹介します。それは「この仕事の目的は○○だ。それを果たすために期限までに達成すべき目標は△△と□□だ。その達成に向けた具体的な手段は××と◇◇と◎◎だ。」と考えることです。
ここでは目的、目標、手段は3層のピラミッド構造になっています。この3層ピラミッド構造を意識することで目的をより細かなアクションへ落とし込むことができます。マネージャーやリーダーがこの構造を理解せず、もしくは省略して部下に指示をすると、言われた部下は真意を理解できずに間違った方法で仕事を進めてしまい後戻りになったり、腑に落ちないため部下のモチベーションが上がらず、成果が上がらないという状態になってしまいます。
一般社員の皆さんも、自分が立てた目標(例えば、新年の目標など)が、気づくとすっかり忘れてしまうのはこの3層ピラミッド構造が描けていないからです。
目的→目標→手段への展開の仕方
前章で紹介した3層ピラミッド構造を作るためには、頂点の目的→目標→手段とピラミッドを展開(構築)することが必要です。ではどのように展開(構築)したらよいのか?それは「どのように」の問いかけをすることで可能となります。
目的の下段になる目標は3層ピラミッド構造の中間で、目的を直接支える役割を担っています。よって、目標は目的に直接繋がっていることと、目的よりも具体的であることが必須条件です。そのようになるように「どのように」の問いかけをしましょう。
例えばあなたがある製造部門の責任者で「部門の生産性を上げて、会社の利益に貢献する」を目的に掲げたとしましょう。それを「どのように」実現するか?を考えると目標に結びつきます。
部門の生産性を上げる(目的)
- 作業の実績を分析して、後戻り作業を減らす(目標)
- コミュニケーション力を高めて、伝達ミスを無くす(目標)
- 無駄な作業を省いて、作業効率を上げる(目標)
といったように、数多くの目標が生み出されます。目的-目標-手段はピラミッドの形で繋がっているので、目的よりも目標の方が数が多くなります。
良い目標の作り方
本章では、良い目標の作り方を紹介します。それは「必ず期限をつける」ことです。
私の経験上、多くのビジネスマンは「目標に期限をつけない」ミスをしがちです。時間は不可逆で限りあるリソースです。人やお金や設備といったリソースは増やしたり減らしたりできますが、時間は誰にでも平等に一定の速度で消費されます。そのため、マネージャーやリーダーは時間にはシビアでいなければなりません。目標の大小に関わらず、目標には必ず期限を設けることを徹底しましょう。
期限の無い目標は「できたら良いなぁ」の願望になってしまいます。期限の無い目標に人を動かす力はありません。必ず目標には期限をつけましょう。
良い目標の作り方2
もう1つ、良い目標の作り方を紹介します。それは「目標を達成すると、目的の実現に貢献するか確認する」ことです。つまり、ピラミッドの中層(目標)と上層(目的)が繋がっていることを確認するということです。
目標を作るときに陥りがちなミスが「実現可能な方法を考えることが先行して、目的の達成に繋がらない目標を作ってしまう」ことです。
例えば、あなたの部下が「今週中に報告書を作成する」という目標を立ててそれを達成できたとしましょう。ではその目的はなにか?「何のために」で問いかけてみましょう。すると「チームに進捗を共有するため」という目的が浮かび上がってきた。そうすると報告書を作っただけでは目的には貢献しません。その報告書がチーム全員に共有されて初めて意味をなすのです。部下は「報告書を作る」ということに集中するあまり、目標と目的の結びつきが見えなくなってしまっていたのです。そこであなたは部下にこれを説明し、チーム全員に報告書を展開させるよう指示しましょう。
もちろんこの考え方は、より具体的なフェーズである。中層(目標)と下層(手段)にも当てはまります。
まとめ
「目的思考」というワードを聞いたことがあるでしょうか?目的思考は、変化の激しい現代社会を生き抜くビジネスマンが身につけるべき思考法として、近年注目されています。本記事では、そんな目的思考について解説しました。
目的思考が必要な理由
- 現在は、過去の延長線を遥かに超えることが求められる時代だから。
- さまざまな価値観をもつ人々をまとめるため。
- 仕事の本質は、目的を達成することにあるから。
目的思考ができると得られるメリット
- 解決すべき問題を絞り込み、価値のない仕事を省くことができる。
- 仕事の優先順位に悩まなくて済む。
- 目的達成に直結するアクションができ、無駄な活動がなくなる。
- 目の前の作業に心の底から納得でき、やりがいを感じる。