「勘違いさせる力」というものがあるのをご存知ですか?
「実力」「運」にも匹敵する力と言われています。「勘違いさせる力」を使いこなすことで、周囲の人から高く評価されたり、良い環境で働くことができます。しかし、この「勘違いさせる力」を有効活用できている人はごくわずか。むしろ他人の「勘違いさせる力」に振り回されてしまう人がほとんどです。
「勘違いさせる力」の正体とは?「勘違いさせる力」を上手に使って、そして逆に「勘違いさせる力」に騙されることなく、幸せになるための方法を紹介します。
本記事は、書籍「人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」を参考に、本書の解説と私の経験・考えを踏まえて「勘違いさせる力」に迫っていきます。
本記事はこんな人におすすめ
・実力があるのに周りから評価されない。
・「勘違いさせる力」に騙されたくない。
・「勘違いさせる力」を有効活用して幸せになりたい。
95%の人が知らない「勘違いさせる力」
皆さんは、今の仕事や役職に就いているのはなぜだと思いますか?
「実力でのし上がった」「運が良かった」「周りに恵まれていた」などなど、その理由は色々と思い浮かぶと思いますが、だいたいこんな感じでしょうか?
- 「運」+「実力」
しかし、実はこれだけではないのです。「勘違いさせる力」を加えて
- 「運」+「実力」+「勘違いさせる力」
となります。「勘違いさせる力」は、「実力」や「運」にも匹敵する、幸せを掴むための大きな力になります。
「勘違いさせる力」では長ったらしいので「錯覚の力」と言い換えましょう。錯覚というと、目の錯覚を思い浮かべる人が多いですが、ここでいう錯覚とは「思考」「意識」「認知」に関する錯覚です。
「勘違いさせる力=錯覚の力」を上手く使いこなすことで、あなたは実力以上の評価を周りから得られ、素晴らしい職場環境や仲間に恵まれるでしょう。
その一方で「勘違いさせる力=錯覚の力」を上手く使いこなせないと、あなたは実力以下の評価しかされません。それだけではありません。「勘違いさせる力=錯覚の力」はあなたの判断を鈍らせ、あなたに必要以上のお金を使わせたり、間違った判断をさせようとします。
つまり、「勘違いさせる力=錯覚の力」は「運」や「実力」に匹敵する、重要な資産なのです。
「勘違いさせる力=錯覚の力」の例
「錯覚の力」の例として、本書では1974年のカナダの実際の選挙の例が挙げられています。
この選挙では、 イケメンの政治家 vs そうでない政治家 という構図になったそうです。そして選挙の結果はイケメンの政治家がそうでない政治家に2.5倍の票差をつけて勝利したようです。
この話を聞くと誰しも
- 「イケメンが印象の上で優位だからこうなっただろう」
- 「人の容姿が人気に繋がるのはある程度の常識」
と思うでしょう。しかし彼に投票した人にアンケートすると、そのほとんどは「イケメンだから投票したとは思っていない」と回答したそうです。
これはどういうことでしょうか?「イケメンが選挙で有利なのは周知の事実」と知りつつも、いざ自分が投票する立場になると、この事実が見えなくなってしまい、むしろ「イケメンだからとか関係無く投票した」と錯覚してしまうのです。
つまり無意識の錯覚が意識を変えてしまうという例です。
本書では「錯覚している人は、自分が錯覚しているとは思っていない」という言葉で表現していますが、まさにそのとおり。「私は絶対に振り込み詐欺に引っかからない」と自信満々な人が、振り込み詐欺にあってしまうのと、本質は同じです。
良い錯覚・悪い錯覚
本書では色々な種類の錯覚があると解説されています。
他人に対する錯覚か、自分に対する錯覚か?
服装がだらしない部下がいると、あなたはきっと「仕事ができないだろう」と思ってしまいます。服装と仕事の成果に因果関係は無いのに、ついそう思ってしまう。他人に対する錯覚です。
あなたが転職するときに「前の仕事で売上を1.5倍にした」ことをアピールして、畑違いの職種への転職を成功させたとしましょう。前の仕事での成功はあなた1人の実力だけじゃありません、周りの人や運もある。にも関わらず相手から高く評価され、畑違いの職種であっても「きっと上手くやってくれるだろう」と期待されます。これが自分に対する錯覚です。
ポジティブな錯覚か、ネガティブな錯覚か?
「30代で社員数百人を抱える社長」
「登録者数100万人のYoutuber」
「月間数万PVのブロガー」
彼らの発言は、どれも的確で素晴らしいと感じてしまいませんか?どんな極論でも「この人が言うならきっと正しいだろう」と思ってしまう。良く思われてしまうポジティブな錯覚です。
逆に、有名な経営者が逮捕された報道を見ると「やっぱり何かやらかすと思ってたよ」と思ってしまいませんか?今までは、その人の素晴らしい成果を尊敬していたのに、「ひどいヤツだ」という印象を上書きしてしまう。ネガティブな錯覚です。
本書では、この中で「自分に対する、ポジティブな錯覚」を「錯覚資産」と定義しています。
「自分が良く評価される錯覚」は運や実力にも勝るとも劣らない、人生を幸せにするために必要な武器です。本書では、この「自分が良く評価される錯覚」を錯覚資産と呼んでいます。
錯覚資産を使いこなせば幸せになれる
「錯覚資産」が大きい人は、周りの人から実力よりも高く評価されます。つまり「錯覚資産」は、人生を豊かにするための強力な武器とも言えます。
逆に「自分に対するネガティブな錯覚」は負の資産とも言えます。負の資産が大きい人は、周りから実力を過小評価され、人生のチャンスさえ与えられないこともあります。
例えば「実力は低いが錯覚資産の大きい人」と「実力は高いが錯覚資産の小さい人」がいたとしましょう。彼らは同じ会社に努める会社員です。
「実力は低いが錯覚資産の大きい人」は、周りから高く評価されるので、新しい事業にどんどんチャレンジする機会が与えられ、新しい経験により実力がついてきます。実力がつくことで周りは彼をさらに評価し、錯覚資産がさらに大きくなります。「実力」も「錯覚資産」もうなぎのぼりです。
一方で「実力は高いが錯覚資産の小さい人」は、周りから正当な評価を受けられないので、新たな事業にチャレンジさせてもらうことができず、窓際部署に異動させられてしまいます。窓際部署なので当然成長する機会は無く、実力が伸びません。実力が伸びないので、錯覚資産も大きくなりません。するとついに、実力さえも「実力は低いが錯覚資産の大きい人」に追い抜かれてしまうのです。
「運も実力」という言葉がありますが、今日から「運も”錯覚資産も”実力」と言い替えないいけないかもしれません。
錯覚資産を使いこなす例
前述した「30代で社員数百人を抱える社長」「登録者数100万人のYoutuber」「月間数万PVのブロガー」といった人達の発言は、どれも的確で素晴らしいと感じてしまう錯覚は「ハロー効果」と言われる有名な心理的現象です。
ハローとは挨拶のハローではなく、後光という意味です。一部の分野だけでも「優秀だ」というイメージが付くと、それがまるで後光のようにその人を照らし、他の分野も優秀なように思ってしまうのです。
上の例以外でも「東大卒」「元有名企業の役員」「〇〇株式会社 東京営業部部長」などもハロー効果があります。こんな肩書のある人達の言うことはついつい耳を傾けてしまいますよね。
本書では「ハロー効果」以外にも、様々な錯覚が紹介され、さらにそれをどうやって使いこなすか、逆に自分がどうやって錯覚しないようにするかが解説されています。
内容が気になる方はぜひ本書を手に取ってみてください。
著者紹介
ふろむだ(fromdusktildawn)
のべ数百万人に読まれたブログ「分裂勘違い君劇場」の著者。
多様な業務経験を活かして、主に仕事論などの記事で人気を博す。
リアルでは複数の企業を創業し、そのうち1社は上場を果たす。
ポストとしては、平社員、上司、上司の上司、上司の上司の上司、取締役、副社長、社長を経験。
業務としては、プログラミング、設計、仕様定義、企画、マーケティング、採用などを経験。
本書は初めての著書となる。
Amazonページより抜粋
最後に
本ブログでは、本書以外にも人生を豊かにする本の要約を記事にしています。